2008年07月20日

独標を這う

    

      < バンダナにて頭部を包むこの吾は蝸牛(エスカルゴ)かも 独標を這う >


 西穂高岳の山小屋で買った赤いバンダナで頭部を包み、岩場を登る。
目交には、覇者の如くそそり立つアルプスの峰々がある。
頂上への通過点である「独標」というケルンのような岩山の岩に手を掛け、
そろそろと登る。

目の前にはピラミッドと呼ばれる小山があり、その前方にもよく似た形の小山があり、
アップダウンを繰り返しながら、難行の果てに、西穂高岳の頂上に到達することが出来るらしい。

独立峰だといわれる山の岩にしがみ付いていると、
地球がさかさまになったような感覚を覚え、
その山に張り付いたまま方向を見失った<蝸牛>になったような錯覚を抱いた。


■そうそう売れるものではないのに買い付けてしまうタイのヘンプ(大麻麻)糸は乾いたような素材感が良い。
 日本ではその成長の速さから産着に麻の葉柄が多いが、タイでは如何に・・・



独標を這う





7月15日の火曜日、山岳ガイドのO氏と二人、西穂高岳の独標に登った。
O氏によれば、その日は、めったに無い登山日和とのこと。どの山もしっかり見えて、心地よい風も吹いていた。
当初私は、山小屋まで行くことが出来れば十分だと思っていたが、
快調な滑り出しのまま好調を維持し、独標の頂きに立つことが出来た。


  「嬉しい、嬉しい、嬉しい」

私は子供のように「嬉しい」を連発して喜んだ。それは久々に味わった達成感であり充足感であった。
今度はどの山に登ろうか・・・などと、四方にそそり立つ山の名を、O氏に尋ねたりした。



 帰途、尾根道の傍らで、衣替えしたばかりの雷鳥の雄に出会った。

 這い松の実を啄むホシガラスにも出会った。

 キヌガサソウ、ゴゼンタチバナ、ベニバナイチゴ、・・・など、愛らしい花々にも出会った。

 人への想いが募り、
 寂しさを凌がねばならない時、
 登山がいいと密かに思った一日であった。





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Posted by 宣 at 16:46│Comments(0)
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