2008年09月15日

転がり月

私の店で売っている「月」のカレンダーには、毎日の月の形が克明に記載されている。
フルムーンとニュームーンが月に一度づつあり、その日がいつなのか、このカレンダーでは、一目瞭然である。

中秋とは陰暦8月の異称であるが、カレンダー通り、昨夜は中秋の名月であった。


ススキやお団子を供え、月を仰ぎながら、相聞の歌の一つでも・・・・・などと思ったが、
その余裕がないのが現実であった。



■丸い布を縫って縮めて作るヨーヨーはパッチワークの手法のひとつ。
 タイシルクのヨーヨーをつなぎ合わせて仕立てたスカーフ、あえて白の、単色のものを選んだらモダンに。

転がり月





しかし、行き付けのカフェで今朝、その名月に関する面白い話を聞いた。

少し言葉の不鮮明な常連のT氏がいつものように私の隣席に座られ、いきなり、
「恋しくて恋しくて貴女に会いたい転月の丘」などと、呟かれたのである。

「何ですか、それ、俳句ですか」と、私。
「俳句ではない、短歌や」と、T氏。

「リズムが悪いし、字足らずやけどそれって短歌なんですか」

「そういえば、後の方に何かが付いとったような気がするなあ。
ゆうべ、山梨の転月の里へいったら、フラメンコの踊りやら、月見の歌会やらいろんなことをやっとって結構面白かったが、
この恋しくての歌は、その歌会の一席に選ばれとったんやさ」

T氏の長閑さに思わず笑ってしまったが、私は、久しぶりに、母を想った。

山の端から出た月が、その稜線に沿うように上り、ころころと転がっていくように見えるので、
その里から見る月を「転がり月」と呼ぶのだと教えてくれたのは母であった。

母は、半世紀以上を戦争未亡人として過ごした恋多き人であった。




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Posted by 宣 at 16:12│Comments(0)
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